【板金屋さんが解説】板金のパテ研ぎにかかる時間を大幅に短縮する方法

【板金屋さんが解説】板金のパテ研ぎにかかる時間を大幅に短縮する方法

小さなヘコミ程度のパテ研ぎであればものの数分で終わってしまうことも珍しくないですが、複雑なプレスラインや大きなヘコミなどのパテ研ぎには非常に多くの時間がかかってしまいます。

パテ研ぎは、自動車修理の中で最も時間を要する可能性の高い工程でもあり、この工程をいかに短縮できるかによって全体の作業時間も変わってくるでしょう。

読み進めていけばパテ研ぎに関する知識も豊富になり必ずパテ研ぎは上達しますので、ぜひともこのまま読み進めてください。

最も大きな要因はパテ付けの技術不足

綺麗にパテを研ぐために必要な技術は、綺麗にパテを盛れていることが最も重要です。

ヘコミに対して真っ直ぐ(垂直、平行)パテが盛られていればパテ表面に足付けするだけでパテ研ぎは完了します。

しかし、人間の手作業で完璧を追求することは不可能に近いですから、パテをある程度高く盛り付けておき、そこから高さを合わせていくのが一般的です。

ただ高く盛れば良いと言うわけではなく、自分の手のクセやパネルの状態なども考えながらパテ付けをしていきましょう。

ヘコミの大きい箇所は厚く盛り付けますから、薄い箇所よりもパテ痩せは発生しやすいです。

パテ痩せも頭に入れながら盛り付けていかなければ、研ぎの段階で低くなってしまうという現象が起こってしまいます。

しかし最も大切なのはパテを真っ直ぐ盛れることです。

研いでいくうちに高い箇所は削れ、低い箇所だけが残りますから、何度もパテ付けとパテ研ぎを繰り返していくうちに自然とフラッシュな面は出てくるでしょう。

また、パテまくらと呼ばれている「パテのキワが大きく膨れ上がってしまうパテ付け」も良いとは言えません。

硬化後に大きく削らなければなりませんので、パテまくらの周りにある塗膜まで削ってしまい、必然と周りが低くなってしまいます。

可能な限りパテまくらは作らないようにしましょう。

面が出ているかの良否判断が難しい

ほとんどの場合は手で触って凹凸を確認しますが、慣れないうちは感覚が鋭くないため高低差の判別が難しいでしょう。

このパテの高低差を見分けるために重要なポイントが4つあります。

まず1つ目

  • 軍手を付ける

人間の手の感覚は、無意識に自分の都合の良いように感じてしまう特性があります。

面がフラットだと思い込みたい気持ちは手の感覚にも現れてきますから、素手で触っていてもフラットな面だと錯覚してしまいます。

僕自身は軍手を付けることはありませんが、まだ見習いの頃は軍手を付けては外してということをいつもやっていました。

軍手を付けて低い箇所が判断できれば、軍手を外して低い箇所をもう一度触ってみる。

すると

「この感覚か!」

というなんとも言葉に出来ない表現ですが、高低差が判断出来るようになり、軍手無しでもパテ研ぎができるようになります。

もちろん熟練者でも軍手を付けて仕事をしている人もいますが、僕は乾燥肌なので軍手を付けると油分が奪われてアカ切れになってしまうので、敬遠しているだけです。

軍手の下にゴム手袋。という方法もありますが、夏場は汗が流れるように落ちてきますからね。

少し個人的なお話をしてしまいましたが、常に軍手を付けて作業するかどうかは、その個人によって判断するのが良いでしょう。

  • 利き手と反対の手で触る

不思議なもので、利き手は手の感覚が鈍いのです。

利き手は日頃からいろいろな物に触れていますし、手の皮が厚くなっているのも1つの要因として考えられます。

さらに利き手は思うように動かせる特徴がありますので、先ほどの「都合の良いように感じてしまう」一面もあります。

利き手と反対側の手であれば面を触るにも少し不自由な感覚がありますが、この不自由な感覚こそが最大の味方なので、利き手と反対側の手で触ることで高低差がはっきりと分かるようになります。

パテ研ぎだけではなく、日常生活でもこの不自由な感覚が大きなメリットとなる場面があります。

それは歯磨き

利き手ではいつもと同じようにしか磨けませんから、力の入り方もいつもと同じです。

しかし利き手の反対で歯磨きをすれば思うように手が動かなく、スムーズに歯磨きが出来ません。

この「思うように動かない」と「スムーズにいかない」という2つがあるからこそ、利き手では磨けない箇所へ自然と歯ブラシが入っていくのです。

高低差の確認も同じく、思うように手が動かないからこそ、手の感覚と思考に差が生まれ、高低差を判断できるようになるのです。

平坦な面から手を持ってくる

初心者がやりがちなのが怪しい箇所だけ触ることです。

パテの高低差を確認したいのですから、狭い範囲だけを触っていても全体的な高低差は見えてきません。

パテの面には、最も高い箇所と最も低い箇所があり、その他にも小さな高低差が無数にあります。

この小さな高低差を見落としてしまえば、サーフェイサーの段階で発見することになり、またパテ工程からやり直しとなるのは目に見えています。

狭い範囲だけを指先で確認するのではなく、手の平と指全体を使って正常なパネル(ヘコミのない)箇所からゆっくり手をスライドさせることで高低差を判断できるようになるでしょう。

何度も前後左右に往復させ、手の違和感を感じられるまで触り続けましょう。

全てを忘れる

と言われれば中二病っぽいですが、これが非常に大切なんです。

ずーっと触り続けていれば手の感覚が麻痺してしまって、高低差が判別できなくなってしまいます。

板金している面とは反対側のパネルを触ってみたり、横の平らな面で自分の手の感覚をリセットしてあげる必要があるのです。

不思議なもので、手の感覚がリセットされれば高低差も判断できるようになり、パテ研ぎもやりやすくなります。

もう一点重要なのが、パテを見ずに触ることです。

頭の中にはパテ面が見えていて、2度目のパテ研ぎ以降は2色のパテが見えているかと思います。

正しく研げているのであれば、パテが見えている = 高い。ですが、本当に正しく研げているのでしょうか?

手の動きや力の当て具合は全て均一?

そんな保証はどこにもありません。

「目で見えているから高い」と思いこんでいるだけの可能性もありますから、目を瞑ったり全く違う方向を見て、触ることを意識しないように手をスライドさせていきましょう。

この時に違和感を感じれば、初めてこの段階で目線を手の方へ持っていき、もう一度疑わしい箇所を念入りに触ってみます。

先ほどの手の感覚をリセットするだけではなく、いったん思考をリセットするのも平面を出すためには必要不可欠なのです。

サンダーやペーパーの選定を間違えている

長くなりましたが、次の項目を解説していきます。

大きな面は大きなオービタルサンダーを使い、小さな面はシングルアクションや小型のオービタルサンダーを使うことが一般的です。

サンダーの使い方に不慣れなうちは、削りすぎてしまったりパテの面がガタガタになってしまうということが多くあります。

楽をしようとサンダーばかりに頼りすぎても削りすぎてしまいますし、粗いペーパー目を消すのが面倒だからと言って細かな番手のペーパーばかり使っていると、削りが甘すぎてこちらもガタガタになってしまいます。

基本的には#80程度で形を作り、形ができたら#120あたりのペーパー。

中間パテまで来れば#180や#240で最終的な成形をしていきます。

最終的な成形で粗いペーパーを使えば必然と削れすぎてしまい、プレスラインなどが低くなってしまいますので、プレスラインは若干高く残しておき、#320で最終的な調整に入るのがベストな方法でしょう。

サーフェイサー前のペーパー目消しには#320相当のペーパーを使いますから、この段階でプレスラインを調整するのも良いです。

ダブルアクションは思わぬところを削りすぎてしまう可能性もありますので、軽く当てる程度で#240の目は消えるでしょう。