塗料にメタリックが含まれていると、ボカシが難しいと言われます。
しかし、ボカシが出来ないということは絶対にありません。
様々な原因が考えられますので、それらをもう一度見直し、適切な方法で塗装しているか確認してみましょう。
しっかりと色は合っているのか?
ボディの塗装と塗装色を100%合わせることはもちろん不可能ですが、可能な限り色を寄せていけぱ狭い範囲でボカシが可能です。
しかし、缶スプレーではこのように調色することはできませんね。
缶スプレーは調色することがほぼ不可能ですから、作られた塗料をそのまま塗装する以外に方法はありません。
極端な話ではありますが、メタリックであっても色が100%合っていればボカシで塗装する必要もなく、ソリッドと同じようにパネル単体で補修ができます。
しかし、同じ色の塗料を使っても塗装条件が変われば同じ色が出せないのがメタリックです。
缶スプレーも同様に、同じ缶スプレーを使っても条件が違えば同じ色は出ません。
同じ色が出ないからボカシ塗装をする必要があるのですから、色が近くなければ大きな範囲でボカしていくしかありません。
ボカシ塗装はグラデーションの効果で徐々に塗膜を薄くしていき、目の錯覚で色が合ってる(色が違わない)ように見える塗装方法です。
狭い範囲でボカシ塗装をすれば色の違いは明確で、塗装した範囲だけ色が違うでしょう。
全くの未経験者がなんの下調べもせずにホームセンターなどで缶スプレーを買い、ボカシ塗装をすることなく傷部分だけを塗装している車は、その箇所だけが真っ黒です。
塗膜を徐々に薄くしていかなければメタリックの周りは黒ずんでしまいますから、補修跡は一目瞭然。
ボカシ塗装のコツは、色が合っていないことを前提としてなるべく大きな範囲でボカシ塗装を行えば、塗装は綺麗に仕上がるでしょう。
適切な設定やガン運びができているか
なるべくパターン(吐出の縦幅)を広げて、ゆっくりガンを動かしていきます。
缶スプレーも同様に、ガサガサにならない程度の距離を保ちつつ、塗装面と平行に動かしながら、ボカしたい箇所の面から徐々に缶スプレーを離していきながら塗装しましょう。
この記事を読んでいる最中だと思いますが、徐々に外側に手を広げてみてください。
この方法がガンの運び方です。
スマホや携帯、マウスなどを触っていると思いますが、画面を塗装面に見立てて手を広げていけば、自然と塗装面と遠くなります。
徐々に塗装面から離していくことで、徐々に塗膜が薄くなり、グラデーションのようにボカシ塗装ができます。
離しすぎて塗装すると塗装面がザラザラになってしまいますので、適度なところで塗料を止めましょう。
缶スプレーでパターン幅を調整することは難しいですが、塗装面との距離を離せばパターンは広がります。
基本的なスプレーガンと缶スプレーのパターン幅の違いですが
- スプレーガンは {
- 缶スプレーは 〈
スプレーガンは吐出された時点で最大のパターン幅となりますが、缶スプレーは塗装面に近ければ近いほど狭いパターンとなり、遠ければ遠いほど広いパターンになります。
何を塗装するか、どのような形状なのかをしっかりと把握し、適切な距離で塗装していきましょう。
シンナーの選び方は適切か?
基本、気温よりも遅いシンナーを選んでいるのであればボカしきれないということはなくなります。
もちろん先ほどの書いた適切な塗装方法ではなく、ムラになるような塗装方法、ボカしきれない塗装方法や塗装範囲などで塗装した場合は除きます。
さて、缶スプレーではシンナー選びに関しても選択することが不可能です。
メーカーによりシンナーの名称は様々ですが
- 速乾シンナー ≒ 冬型シンナー ≒ #10
- 普通シンナー ≒ 春秋シンナー ≒ #20
- 遅乾シンナー ≒ 夏型シンナー ≒ #30
- 超遅乾シンナー ≒ 盛夏シンナー ≒ #40
このように、気温によって使い分けているシンナーでも3つの名称がありますが、名称の違いだけで使用する気温は変わりません。
缶スプレーでは、普通シンナー、気温20℃に適したシンナーが使われていることが多いですから、極端に寒い日や真夏の暑い日などを避けて塗装すればボカシ塗装も上手くいくでしょう。
乾燥の遅いシンナーを選択すればムラにならずにボカシ塗装も出来ると言いましたが、1つ注意点があります。
乾燥が遅ければ次の塗装までの間隔も長くなりますから、乾ききる前に上塗りしがちです。
しっかりと乾燥させて上塗りしなければ、どんどんメタリックは下に沈んでいきムラになってしまうでしょう。
ムラになればボカシ塗装以前の問題だから、おのずと綺麗に塗装することはできなくなります。
缶スプレーで塗装するのであれば、冬場の塗装は十分な乾燥時間を用意したうえで上塗りをして、夏場の塗装であれば全塗装などの広範囲に及ぶ塗装は避けるべきでしょう。