2液型ウレタン塗料と1液型塗料、塗り方に違いはあるのか?

2液型ウレタン塗料と1液型塗料、塗り方に違いはあるのか?

2018年現在、2液型のベースコートは時代遅れ。

しかし、時代遅れと言えども2液が主流だった時代があるからこそ、今の1液が生まれ、水性塗料が生まれました。

現在でも2液型のベースコートを使い続けている工場もありますが、こういった工場は経営がうまく回っていないと考えても良いでしょう。

そもそも1液塗料の最大のメリットは、ムラになりにくい点です。

簡単に塗装ができるのに、現代の1液社会でも2液を使い続けている。

僕自身、1液塗料を使い始めてから13年ほど経っていますので、いま2液塗料を使えと言われてもまず塗れません。

ムラムラです。

しかしこの2種類の塗料は、塗り方にどのような違いがあるのでしょう?

2液塗料は硬化剤が入っている

塗料に対して規定量の硬化剤とシンナーを入れて塗装するのが2液タイプの特徴です。

硬化すれば塗膜は硬くなり、被膜としては非常に強力なものとなりますが、車の塗装のように綺麗な塗装を行うには難しく、技術を必要とします。

FRP製を除き、船における全て塗装は防錆効果のある2液タイプの塗料が使われています。

車ほど艶を必要としませんし、外観の美しさよりも錆びない対策の方が重要ですから、船の塗装は常に2液塗料を使って強い塗膜を形成しているのです。

硬化剤が入っていれば塗装中に固まっていく

これが2液タイプの最も難しいところですが、スプレーガンから噴出されたミスト状の塗料が空気にさらされ、熱と水分により硬化し始めてしまいます。

カップや缶スプレーに入っている状態であれば、塗料が空気に触れる面積が少ないため、硬化の速度も遅くなりますが、ミスト状になれば一瞬のうちに硬化が始まります。

メタリックがムラになりやすいのはこのためで、メタリックの粒子が均一になる前に硬化が始まりその場で固まってしまいます。

ムラを無くすには上から厚塗りして色を染めていかなければならなくなりますので、塗膜の厚さと乾燥具合を常に維持して置かなければなりません。

塗装した塗膜の中でメタリックが動けるほどの厚みがあれば良いのですが、この厚みが薄すぎれば乾燥と硬化が速まり、結果としてムラ取りを行えなくなってしまいます。

1液塗料はシンナーだけ

2液塗料は硬化剤を入れて塗料を作りますが、1液塗料はシンナーのみです。

例外としてイサム塗料では、リアクターと呼ばれる、シンナーに微量の硬化剤が入ったようなものを使用することがあります。

リアクターと塗料を混ぜて数日置いておいても、ジェル状になるだけですから、ほとんど硬化はしないと考えて良いです。

話を戻しますと、シンナーだけの希釈であれば、塗料は硬化しないため、メタリックのムラは自然と消えていきます。

塗装した塗膜の中で、メタリックの粒子が硬化せずに均一になるまで動き続けてくれますから、1液塗料はムラになりにくいという大きなメリットがあるのです。

しかしもちろん塗りすぎればムラになります。

塗装未経験者が缶スプレーなどでバンパーの補習を失敗している車でよく見かけるのが、塗ったところだけが黒くなっている塗装です。

あれは1点にメタリックが集まりすぎて、それぞれの粒子が反射することなく映り込むため、真っ黒になって見えるのです。

ボディなどに塗装した場合の小さなムラでも同じように、1点にメタリックの粒子が集まりすぎてムラになる場合も多くあります。

水性塗料も1液タイプ

ここ数年、新車の塗料は水性塗料へと進化してきました。

この水性塗料の特徴は、なんと言っても有害物質を含んでいない点です。

1液塗料や2液塗料は有機溶剤ですから、人体や環境へ悪影響を及ぼしますが、水性塗料は「水」です。

水は雨や湿気などと同じように、常に人間の体に触れているものですから、有機溶剤と比べて圧倒的に害は少ないです。

しかし、民間の板金工場で水性塗料を使う場合、有機溶剤塗料よりも管理費が大きく増えてしまいます。

なぜ水性塗料は高価なのか

水性塗料はその性質上、水です。

水は熱くなれば蒸発しますし、寒くなれば凍ります。

さらに経年劣化により水は腐り、塗料自体が使い物にならなくなってしまうのです。

これを防ぐために、水性塗料の保管場所には一定の温度を保つためのヒーターを設置しなければなりません。

ヒーターの設置費用やヒーターの常時稼働など、有機溶剤とは比べものにならないほど、ランニングコストが発生してしまいます。

この費用を回収するために、板金工場はどうにかして捻出しなければならなくなりますから、必然と割引の出来ない仕事となるわけです。

ほとんどのクリアは未だに2液塗料

ここまで、有機溶剤や水性塗料のお話をしてきましたが、これらの塗料が使われているのは、あくまでもベースコートまでです。

トップコートのクリアは未だに2液タイプが使われています。

と言うのも、やはり1液タイプでは塗料が硬化しなく艶が出ないことが特徴ですので、どれだけ塗り込んでもやはり2液塗料には敵いません。

たしかに1液塗料の塗装後に磨き続ければ艶は出ますが、ほぼ全ての塗装をロボットで塗っている新車を、わざわざ手作業で磨く作業ほど無駄なことはありません。

船が2液塗料のように、やはり2液塗料は今でも現役というのが、塗装業界での通説ということでしょう。

一部の新車は粉体塗装

代表的なところで言えばBMWです。

ベースコートの塗料は水性ですが、トップコートのクリアは粉体塗装。

粉体塗装というのは、液体を吹き付けて塗装するのではなく、粉体を静電気の力で塗着させて塗装していく方法です。

常温では粉のままですので、粉体塗料の性質に応じた温度まで上げる炉に入れ、温度を上げていくことで硬化が始まります。

一般的な工業製品の粉体塗装は190℃ほどまで上げて硬化させて行きますが、自動車で190℃まで上げてしまえば、鉄板が歪んで使い物にならなくなるでしょう。

あくまで推測ではありますが、低音で硬化するタイプの粉体塗料(120℃〜140℃)を使用して、鉄板や水性塗料に被害が無いようにしていると思われます。

粉体塗装のメリットは塗料の使いまわし

有機溶剤塗料は1度塗料を作ってしまえば乾燥が始まり、やがて塗料は固まってしまいます。

余った塗料を10日後に使う場合、シンナーなどで希釈し直さなければならないですが、粉体塗料の場合はこの必要はありません。

硬化が始まる温度でなければいつまでも使い続けられるので、塗料をそのまま再利用することも可能になります。

さらに粉体塗装は、ミストによるガサガサも発生しないため、ファンを設置しているブースでなくとも塗装ができるため、下に落ちた塗料を回収、再利用するだけですから、大きな工場にとっては大きなコストダウンとなるでしょう。

粉体塗装のデメリットは硬化後に硬くなりすぎる

専用のガンや塗装機、数百度まで上げるための窯など、一般的なDIYでは絶対に塗装不可能な粉体塗装ですが、新車から塗装されている粉体塗装でも塗膜が硬すぎるというデメリットがあります。

硬すぎることがどのようなデメリットに繋がるかと言えば

  • 鏡面磨きに莫大な時間がかかる
  • 塗装の割れが広がりやすいなどが挙げられます

車を大事にされているなら、一度は憧れる鏡面磨き。

ポリッシャーを使って自分でやってみようと考えたことがある人もいるでしょう。

一般的な2液ウレタン塗料であれば、#1200程度の対水ペーパーで肌を落としていきますが、粉体塗装では塗膜が硬すぎてすぐにペーパーが使い物にならなくなってしまいます。

何度もペーパーを交換しなければならないうえ、肌を落とすのにも時間がかかります。

塗装の割れに関しても、フェンダーの詰め折りなどのように徐々に鉄板を曲げていくような作業をする場合、塗膜が硬すぎてすぐに割れてしまいます。

多少の柔らかさがあれば、塗膜は柔軟性を発揮して持ちこたえてくれるのですが、粉体塗装では軽く曲げただけでも割れてしまい、その割れが長くなってしまうことが特徴的です。

塗膜としては強いですが、何かの衝撃ですぐに割れてしまうデメリットがあるため、カスタムには不向きですが、長期的なコストダウンには大きな効果を発揮するでしょう。