板金塗装のスキル習得には何年必要なのか?

板金塗装のスキル習得には何年必要なのか?
これから板金塗装工場へ就職しようとしている人、現在見習いで働いている人。
もしくはDIYなどで塗装にチャレンジしようとしている人など様々ですが、職人と呼ばれる板金塗装の世界で、一人前と呼ばれて独り立ちするには何年ほど修行をすれば良いのでしょうか?
今回はそんな疑問について考えてみます。

修行年数に決まりはない

板金塗装の職人は、車好きの人にとっては素晴らしい技術の持ち主と見られますが、世間一般からはただの「車を直している人」という認識です。
日本刀を作っていたり、着物をオーダーメイドで作る職人、和傘を作る職人など、日本古来の職人であればメディアも取り上げて有名になりますが、板金塗装職人がメディアに取り上げられる事例は多くはありません。
このため、修行年数やマニュアルなどが世間に知られるはずもなく、工場のやり方や先輩、上司などの教え方によって修行年数は大きく変わってきます。
僕が見習いとして板金塗装を始めた頃、記憶では曖昧ですが最初の1週間は見ているだけでした。
「塗装できないならやること無いから見ていて」と言われるのですが、これでは修行年数も長くなるばかりですよね。
もし見ているだけで上達するのであれば、先輩の仕事をどうがで撮影し、何度も見るだけで塗装ができるようになります。
今ではyoutubeなどでも数え切れないほどの塗装動画がありますから、それらを見るだけで一人前の職人になれるということになるでしょう。
しかしこれだけで上手くならないのは当然のことのように理解できると思います。
どんな仕事、趣味でも自分が作業して試行錯誤していかなければ絶対に上達しませんから。
もう1つの疑問点は、どこまでできれば一人前なのかということです。
中古車ばかり直している工場は仕上がりもそこそこで良いわけですが、高級外車専門店では仕上がりにこだわります。
ここは1つ中間を取って、日本車ばかりを直している3,4人の板金工場と考え、話を進めていきます。

本気で取り組めば、1年未満で一人前になれる

おそらく1年もかからないでしょう。
常に向上心があり、試行錯誤を重ねて分からないことは先輩に聞く。
しっかりと受け答えをしてくれる先輩や上司がいる環境であれば、上達も速いです。
どんな塗装方法にも対応出来ると言うわけではなく、一般的な修理は可能ということです。
ひと昔前までは、キャンディ塗装と言えばNSXなどの一部高級車のみに採用されていましたが、現在では大衆車にも採用され始めています。
特殊な塗装を日頃から行える環境にあるうえ、塗料の品質も向上して作業性が上がり、失敗することが少なくなってきています。
磨き工程の時間短縮や塗装ムラの減少など、昔ほど塗装が難しいものではなくなってきました。
インターネットを使えば様々な情報が手に入る時代ですから、会社の人だけからの指導だけではなく、多種多様で新しい情報をどこからでも入手できるようになったのも、素早く独り立ち出来る要因の1つです。
しかし、ここまでのお話はあくまでも板金か塗装、どちらかだけのお話なのです。

板金と塗装は異業種

DIYでバンパーなどの修理を行うのであれば、一人でパテを盛り一人で塗装をしていきます。
しかし、板金塗装工場ではこの作業をそれぞれの職人が分担して行い、どちらか一方の作業しかできない場合がほとんどです
おおよそ、板金はパテを研ぎ終えたところ、もしくはサーフェイサー塗装まで。
塗装はサーフェイサーの塗装、もしくはサーフェイサーの研ぎから入ります。
もちろん見習いも同じように、会社の方向性によってどちらに配属されるかが決まるのです。
従業員が多ければ多いほど、作業を分担することで生産性は上がりますから、数十人規模の板金工場では、まず間違いなくどちらか一方の作業しかやらせてもらえないでしょう。
それも数十年間。
もしかしたら定年まで塗装だけかもしれません。
パテを研いだことすら無いかもしれません。
このように、板金と塗装は異業種ですから、どちらも合わせて1年でマスターしようと言うのは無理があります。
特に板金は、大破や中破などの大きな損所の場合、自社で修理を行わずに外注へ出してしまうことが多く見られます。
大破車の修整には特別な設備が必要で、簡易的な補修のみを行う板金塗装工場では不可能とも言えるでしょう。
外注へ出してしまえば修理を行う機会がありませんから、フレーム修整などの技術や知識が向上することはありません。
交換で済むだけの修正を覚えるだけであれば、どちらも1年足らずで仕事はできるようになるでしょう。

板金、塗装、どちらも習得すると独立していく

少しだけ僕の話をします。
2018年現在、板金歴は5年、塗装歴は15年。
20歳の頃に板金塗装工場へ見習いとして入り、そこから4社目です。
はじめの工場は5名ほどの工場でしたが、役割分担が決められていましたので、板金を学ぶことは出来ません。
ある程度塗装が出来るようになると、やはり塗装だけではなく板金も覚えたいという意欲が湧き、次の工場へ行くことに。
ここは社長と二人でしたが、やはり小さければ小さいほど決められた仕事ばかりではなく、あれもこれもとやらなければなりません。
そんなこんなで今は一人で仕事をしているわけですが、決して独立したわけではないのです。
板金塗装部門として、僕一人でやっているわけけですが、僕のように板金と塗装を両方覚えると独立することがほとんどです。
どちらか片方だけであれば、見習い期間は一度のみでそこから給料は上がり続けますが、もう一方を新たに覚えるとなればまた見習い期間からスタートです。
あんなに苦労したのにまた違うことを覚えるなんてやってられない。という人がほとんどですから、どちらか片方だけ出来れば食べていける分は稼げるのです。
言ってみれば中途半端なんですよ。
独立するか、毎日決まった作業をし続けるかという2択なのに、その間にいるのですから。
かなり珍しいと思いますよ。
でもそのおかげでどこへ行ってもすぐに仕事は見つかりますし、いろいろ出来るからアドバイスも出来る。
片方しか出来ないともう一方のアドバイスは不可能ですからね。
独立する気もありません。
この仕事一本だけで食べて行こうとも考えてませんし、この仕事を柱として、あらゆる方向からの収入源を確保していこうと考えていますから。
僕自身が飽き性であり、努力が嫌いなこと。
新しいもの好きですぐに目移りすること。
あれもやりたいこれもやりたいとなれば、独立しても苦痛に感じるかもしれませんからね。
と、ここまでかなり自分の話をしてしまいましたが、ここまで読んでいるということは、少なからず参考になったり共感してもらえたかと思います。
あまり多くは語りませんが、板金塗装についていろいろと考えている方が、多少なりとも今後について考えられる内容であれば良いかなと感じています。