塗装の水研ぎと空研ぎの違いを比較。使うペーパーや番手、使い分けまで細かく解説

塗装の水研ぎと空研ぎの違いを比較。使うペーパーや番手、使い分けまで細かく解説

水研ぎと空研ぎ、どちらにもメリットとデメリットがあります。

 

塗装で最も大切なのは下地とも言われています。

 

下地の作り方が悪ければ、いくら綺麗に塗装が出来たからと言っても、剥がれてしまったりペーパー目が浮き出てくる原因になってしまうでしょう。

 

正しい研ぎができれば塗装も綺麗になりますから、必然と磨き作業も楽になります。

 

水研ぎとは?

 

 

耐水ペーパーと呼ばれるサンドペーパーを使って研磨していくことです。

 

専用のサンドペーパーがあり、水を使わなければしっかりと研げないため、必ず水研ぎ専用ペーパーを使ってください。

 

耐水ペーパーは、裏面に「water proof」と書かれている場合が多く、誰が見ても一目瞭然です。

 

 

また、空研ぎペーパーと比べて耐水ペーパーの研ぎ面はツルツルしている傾向にあります。

 

手で触って確認できるのであれば、まずは触ってみましょう。

 

耐水ペーパーは1枚の紙に研磨砥石が付いているようなものですから、それ自体は非常に薄く、裏面を見るだけではただの紙にしか見えません。

 

通販やホームセンター、カー用品店でも必ず取り扱いはありますので、誰でも簡単に見つけられるでしょう。

 

 

水研ぎのやり方

 

大量の水を使って研いでいきます。

 

理想的なのは、研ぎ面に常に水が流れるようにして研いで行くことです。

 

浴槽の中であったり、大きなボールやプールの中であったり。

 

 

小部品ならまだしも、車のボディを水に浸して研いでいくというのは現実的には難しいので、水道から水を引っ張り、シャワーを当てながら研いでいきましょう。

 

バケツに水を貯め、その水をタオルなどに含ませても良いです。

 

とにかくペーパーと研ぎ面の間に常に水があるような状態にしておかなければなりません。

 

耐水ペーパーを水を使わずに研いでいくとすぐに分かりますが、ペーパーに塗料などが絡んでしまってすぐに使えなくなってしまいます。

 

 

ペーパーと研ぎ面の間に水が入ることによって、界面活性剤と似たような効果になり、滑らかに研いでいけます。

 

ほとんどの場合クリアを研いでいくでしょうから、研いでいくと水が白く濁ってきます。

 

白く濁った頃を見計らってペーパーと研ぎ面を水で流し、常に綺麗な状態で研いでいきましょう。

 

 

空研ぎとは?

 

水研ぎとは反対に、水を使わずペーパーのみで研いでいく方法です。

 

こちらも空研ぎ専用のペーパーを使っていきます。

 

空研ぎペーパーには様々な種類があり、裏面がマジックテープになっているものまであるのが特徴です。

 

 

耐水ペーパーと違い、紙のような材質ではなくさらに分厚くなっています。

 

研ぎ面もツルツルしているのではなくザラザラとしていますから、触ると指がチクチクする感触があるでしょう。

 

エアーツールのサンダーに取り付けて使うペーパーは、空研ぎ専用である場合がほとんどのため、様々な形、種類のものが存在しています。

 

用途に合わせて使い分けていくことが、作業効率アップの近道です。

 

 

空研ぎのやり方

 

耐水ペーパーのように水を使うことは無いため、とにかく研いで行くだけです。

 

たまにペーパーに詰まったカスを叩いて取り除くくらいなもので、特に注意点はありません。

 

ペーパーの変え時は、新品のペーパーと今使っているペーパーを触り比べて、使っているペーパーが滑らかな触り心地になってきたころです。

 

新しいペーパーは切れも良く、作業の効率が高まりますから、切れが悪いと感じたらすぐに新しいペーパーへ切り替えましょう。

 

 

水研ぎのメリット

 

水研ぎの最大のメリットは、空研ぎでは再現不可能なプレスラインの細かな調整、大きな面を綺麗に研げるなど、塗装面の品質を高めるために水研ぎは必須です。

 

景色が映り込む

水研ぎは常に水を使いますから、研いだ面がクリア塗装後のように景色を移し込めます。

 

研ぎながら景色を映し込めば、パテの歪みやプレスラインの歪みなど、完成形が目で見てはっきりと分かるのです。

 

空研ぎでは艶消しどころか景色など一切映り込みませんから、全て手の感覚のみで研いでいかなければならないため、研ぎが難しいですが、この空研ぎの決定を補える水研ぎは絶対に空研ぎには敵わないでしょう。

 

 

ペーパーが長持ちする

 

正しい使い方で研ぐことが大前提ですが、水の量を多めに研いでいけば、そう簡単にはペーパーの目は無くなりません。

 

例えばサーフェーサーの研ぎに使うペーパーを#400とすると、30cm×30cm程度の大きさでも1枚のペーパーで足りてしまいます。

 

はじめは当て版などを使って面を研ぎ、細かい部分は最終的に手で研いでいきますので、手で研ぐのに新しいペーパーを使う必要はありませんから、1枚だけで足りてしまうのです。

 

 

サイズや形を自由に変えられる

 

市販されているほとんどの耐水ペーパーは、2種類の形に切り取られています。

 

大きな1枚サイズの

  • 縦28cm 横23cm

小さく4分割になった

  • 縦14cm 横11.5cm

 

この2つに分けられていますので、使う状況に応じて使い分けていきます。

 

小さく切り取られている耐水ペーパーは、使う用途が限られてしまいますので、大きな耐水ペーパーを用意しておいて、好きなサイズに切って使うと良いでしょう。

 

板金塗装屋さんが大面積の水研ぎをする時には、大きな1枚サイズを縦長の3分割にして使います。

 

 

縦28cm 横8cm 程度の縦長に切り、専用の当て版を使って研ぐこともありますから、1枚サイズの耐水ペーパーであれば好きな形にできます。

 

4分割サイズを買うメリットはあまり無いですから、よほどのことがない限りは1枚サイズ野耐水ペーパーを選びましょう。

 

 

ペーパー傷が均一で深く入らない

 

塗装後に塗料が硬化してよく見てみると、ペーパー目が浮いていることがあります。

 

これは空研ぎで出たペーパー目をしっかりと消さないまま、次の工程へ移ってしまったため、ペーパー目が浮いて出てきたのです。

 

水研ぎの段階で粗いペーパーを使っていたなら、ベースコート(色)を塗装するときにペーパー目が現れてきますから、後から出てきたペーパー目は空研ぎのペーパーで目が深く入りすぎたことが原因の場合もあります。

 

 

水研ぎペーパーは触った感触がツルツルしていますから、1つ1つの砥石が大きくありません。

 

大きくなければ傷が深く入らず、均一に研げていくため、必然と綺麗な研ぎ面、仕上がりになってくるわけです。

 

 

水研ぎのデメリット

 

水研ぎは綺麗に研げる反面、それなりにデメリットも存在します。

 

水に濡れてしまう

 

水を使うのですから、当たり前と言われればそれまでです。

 

小さなパーツを水研ぎするくらいなら簡単に水切りは出来ますが、ドアなどの大きなパネルは簡単には水は切れません。

 

表面の広い部分はタオルで拭いてしばらくすれば乾いていますが、内側やモールの中など、手の届かない暗い場所は水が抜けきれません。

 

 

この水を抜くために長時間外に放置したり、赤外線を当てて強制的にパネルの温度を上げたりしますが、どちらも時間は掛かります。

 

空研ぎはエアーなどで吹き飛ばすだけですぐに次の工程へ移れますから、水を使った以上、ある程度の時間は覚悟しておかなければなりません。

 

 

冬場に手が荒れる

 

肌の強い人ならお湯を使って水研ぎをしてもなんの問題もありませんが、肌が弱い人にとって、冬のお湯は強敵です。

 

すぐに手がボロボロになってしまうので、冬場の寒い時期であっても冷たい水を使って研がなければなりません。

 

僕自身も肌が弱いですから、冬場にお湯を使うことなく水で頑張っています。

 

 

寒中水泳みたいなもので、最初は冷たくてやってられませんが、しばらくすると慣れてくるものです。

 

まぁ寒中水泳よりは厳しくはないと思いますが。

 

 

水研ぎでパテは研げない

 

正確に言うと、研げないのではなく研がない方が良いです。

 

サーフェーサーと違ってパテは厚く盛られていますから、パテの中に入った水分が完全に抜けきるまで時間が掛かります。

 

実際にパテの中の水分量を計ることなんて現実的には不可能ですから、どれだけ乾かせばパテの水分が飛ぶかなんてまず分かりません。

 

 

表面が乾いたからと言ってそのまま塗装してしまえば、ブリスターなどのトラブルにもなりかねませんから、パテに水を使うメリットはほとんど無いと言えます。

 

プロでもパテに水を使う人はまずいませんし、わざわざ水研ぎで景色を移し込んで研がなければ綺麗な面が出せないと言うのであれば、それはただの未熟者です。

 

パテである程度の形を作っておき、サーフェーサーでプレスラインをしっかり出せば良いだけですから、なるべくパテでは水研ぎをしないようにしましょう。

 

 

地面などが汚れる

 

仮にボンネットの真ん中付近を水研ぎしていたとしましょう。

 

ボンネットから流れた水は、ボンネットを伝ってグリルへ流れ、バンパーやナンバーまで水が流れます。

 

綺麗な水が流れるだけなら問題はありませんが、研いだ水は白く濁り、乾けば白いカスになってしまいます。

 

 

平らな面なら拭き取るだけですが、グリルなどのように入り組んだところへ入り込むと、取り除くのが大変なので、この点だけは注意しておきましょう。

 

タイヤも同じように、ホイールやタイヤの目へ入り込むと取れなくなってしまいます。

 

このあたりを汚れないようにするために、マスキングに使うマスカーなどを使って養生しておきましょう。

 

 

空研ぎのメリット

 

ここまで、水研ぎのメリットとデメリットを解説してきましたが、それだけでもとても長いものとなってしまいました。

 

空研ぎに関しても様々なメリットとデメリットがありますので、水研ぎと比較していきましょう。

 

 

作業効率が良い

 

水を使わなければ乾かす時間がありませんから、作業ですしはどんどん先へ進んでいきます。

 

パテ研ぎ工程では、研いでは触り、研いでは触りをひたすら繰り返すだけです。

 

塗装面の足付けでも全体的に足付けをし、一度綺麗に拭き取って細かい箇所を足付けしていくだけですから、水研ぎと比べてその作業スピードは2倍も3倍も速く進みます。

 

おおまかな形作りは空研ぎで進め、最終の仕上げは水研ぎで行っていくことが、1番作業効率は良いのではないでしょうか。

 

 

巣穴が確認しやすい

 

水研ぎであれば、巣穴に水が入り、濡れている状態では巣穴と認識できないことも多くあります。

 

巣穴と認識できずにそのまま塗装工程まで行き、塗装の最中に巣穴を見付けてしまっては目も当てられません。

 

これが空研ぎであれば、研いでいる最中に巣穴をすぐに見つけられますから、なんらかの対策を取ることは出来るでしょう。

 

 

木材にも使える

 

空研ぎペーパーは、塗膜やサーフェーサー、パテだけではなく木材にも使われています。

 

例えば家具を作るときなど、木に水分が入り込むのはよろしくないですから、水研ぎで表面を滑らかにすることはしません。

 

空研ぎ専用のペーパーを使って表面を仕上げていきますので、空研ぎペーパーはどんな場面でも活躍できます。

 

塗装だけに使えるものではありませんので、いろいろな用途に使えて汎用性が高いのが特徴です。

 

 

空研ぎのデメリット

 

水研ぎのメリットと反対の性質と考えてほぼ間違いないですが、空研ぎ特有のデメリットも存在しています。

 

環境が汚れる

 

周りの空気や車の中など、部屋で空研ぎをすれば部屋中が粉まみれになってしまいます。

 

必然とマスクも必要になりますから、決して健康に良いとは言えません。

 

車のドアや窓を開けたまま空研ぎをすれば、車の中が粉まみれになってしまい、掃除も大変です。

 

たしかにドアを開けなければ作業できない箇所もありますので、車内に粉が入るのが嫌な場合は、ビニールなどで養生しておきましょう、

 

 

目づまりしやすく、ペーパー寿命が短い

 

耐水ペーパーと比べると、びっくりするほど短いです。

 

特に#320や#400ともなれば、すぐに目が詰まってしまってすぐに削れなくなってしまいます。

 

頻繁にペーパーに詰まった粉を取り除いてあげないと、ほとんど切れなくて作業が進んでいきません。

 

 

実際には、目づまりの掃除よりも新しいペーパーをどんどん使った方が作業が速く効率が良いですので、これを商売としている人はどんどん新しいペーパーを使って作業を進めていきましょう。

 

趣味の範囲で使うのであれば、収入に変わることはほとんどありませんから、1つのペーパーを長く使うのも節約になってきます。

 

 

細かい番手が使いにくい

 

ほとんどの場合、#240〜#320程度までは空研ぎで進め、#320〜#400からは水を使って研いでいきます。

 

細かい番手ほどすぐに目が詰まってしまうため、なかなか使いにくいです。

 

詰まってしまったカスが固まれば、本来の番手よりも粗い傷になることもあります。

 

 

粗い傷を防ぐために何度も綺麗にしなければなりませんから、細かい番手は水研ぎで進める傾向にあるのです。

 

しかし今では空研ぎペーパーの品質も高くなってきていますから、なかには目づまりしにくく切れ味も長く続く空研ぎペーパーもあります。

 

広いパネルの足付けに水を使っていくのではなく、空研ぎの#1200で足付けしていく方法が主流になりつつありますので、下記の記事も参考にしてみてください。

塗装の足付けに使えるスーパーアシレックスとは?人気のピーチやピンクなど、その効果は?

 

こんな時に水研ぎを使おう

 

水研ぎは綺麗に研げる反面、水で地面が汚れやすいです。

 

この点だけ注意しておけば必ず綺麗に研げますから、積極的に水を使っていきましょう。

 

先ほども言いましたが、基本的に水研ぎは細かい番手で使っていきます。

 

 

最終的な仕上げというイメージですね。

 

パテまでは空研ぎで進め、サーフェーサーや磨きのペーパー当てなどは水研ぎで進めていきます。

 

番手にすると#400〜は水研ぎで、それ以前の粗いペーパーは空研ぎです。

 

 

塗装中に付いたゴミも必ず水研ぎで、#1200〜#1500で取り除いてください。

 

クリアだけを塗装したい、色を乗せたくない(乗せない)場合も同じように、足付けは水を使っていきましょう、

 

色を乗せずに透明な塗料を吹きかけるだけですから、下地に不純物(例えば白に黒い汚れ)があれば、不純物の上からクリアを塗装してしまうと2度と取れなくなってしまいます。

 

水をかけ、綺麗になったことを確認してから塗装していきましょう。

 

 

空研ぎはこんな場面で使おう

 

パテまでですね。

 

空研ぎの特徴は

  • 目が粗い
  • 目が詰まる
  • 寿命が短い
  • 景色が映りこまない

 

およそこのような感じですから、単純に細かい作業には向いていません。

 

チビチビと進めるのは水研ぎに任せて、ガシガシ作業を進めて行く場合には空研ぎを選択しましょう。

 

空研ぎのデメリット項目でもお話しましたが、技術の向上によって一部の空研ぎペーパーでも寿命の長いものが出始めてきました。

 

塗装前の足付けや色変え全塗装などで特に重宝しますから、作業効率アップのためにはこの製品も重宝します。

 

 

よくある疑問集

Q.クリアの鏡面仕上げをしたいのですが、ペーパーの選び方が分かりません。

 

A.耐水ペーパーを使って、#1200程度からはじめてください。
#800や#1000でも良いですが、角などのエッジ部分はすぐに下地が出てしまうため、万が一のことを考えて#1200で研いでいくのが無難でしょう。

 

 

Q.ヘッドライトの黄ばみはペーパーで綺麗になりますか?

 

A.内側の黄ばみでなければ綺麗になります。
#1200〜#1500程度の細かいペーパーを使って水研ぎしていきましょう。
粗いペーパーは、クリア層に深い傷をつけるため、あまりオススメできません。

 

 

Q.パテのプレスラインが上手く出ません。

 

A.マスキングテープを使ってプレスラインを作っていきましょう。
#120や#180あたりまでは、マスキングテープ無しで適当に形を作り、#240でおおよその形、サーフェーサーの水研ぎで最終的なラインを出していきます。

 

 

Q.サーフェーサーを空研ぎしたいのですが

 

A.多少の歪みが気にならないのであれば、それでもかまいません。
水研ぎはあくまでも確認を込めた仕上がり重視の研ぎ方ですから、スピード重視の場合はプロでもサーフェーサーを空研ぎすることもあります。

 

 

Q.オススメのサンドペーパーは?

 

A.水研ぎはなんでも良いです。3Mでもホームセンターに売っているものでも。
そこまで大きな差はありません。
空研ぎは、#360と#400、#1200はコバックスという会社が販売しているペーパーがオススメ。
それ以外のパテ研ぎペーパーには3Mがオススメです。

 

まとめ

 

まず、ここまで読んでいただいてありがとうございます。
長くなりましたが、最後に「空研ぎ」と「水研ぎ」のまとめとしましょう。

 

  • 水研ぎは綺麗に品質重視
  • 空研ぎはスピード重視
  • 水研ぎペーパーは長持ちする
  • 空研ぎペーパーは長持ちしない
  • 水研ぎは水分の除去が大変
  • 空研ぎは粉が舞う
  • 水研ぎはタイヤやバンパーなど、研いだ下が汚れる
  • 空研ぎは室内や服などが粉まみれになる

 

どちらも一長一短、状況に合わせた使い方をしていきましょう。

 

サンドペーパー自体は、1枚の値段は高いものではありませんから、次から次へと新しいペーパーを試してみるのも面白いかもしれませんね。