鈑金塗装屋が教える缶スプレーで綺麗に塗装する方法

鈑金塗装屋が教える缶スプレーで綺麗に塗装する方法

車の部品やプラモデルなどの塗装。

下地となるものこそ違えど、下処理や上塗りに大きな差はありません。

樹脂製品に熱を加えすぎると変形する程度の違いですので、車だけではなくプラモデル等にも応用可能という認識で良いでしょう。

しかし、木材や家の外壁など、材料に対して塗料の吸い込む比率が大きく異なるため、こちらは参考にはなりませんのであしからず。

缶スプレー特有の性質

コンプレッサーを使用しガンで塗装する作業とは異なり、缶スプレーは吐出量とエアー圧、希釈率が一定のため、状況に応じた対策を講じることが難しいです。

また、装着されているノズルを使用するだけでは一定のパターン(吐出される塗料の広がり方)でしか塗装できない点も完全なるデメリットと言えます。

これに加え、ガンのレバーとは異なり、吐出を微調整することも簡単ではありません。

それぞれのデメリットをいかにガンでの塗装と同じように吹けるかを解説していきます。

吐出量の調整

スプレーガンには必ず吐出量のツマミが備え付けられていますが、缶スプレーは押すか離すかのどちらかしかありません。

押せば出すぎてしまうし、離せば止まってしまう。

距離と塗料の乾きで調整しましょう。

1回目の塗りでは、薄く満遍なく塗装していきますが、2回目の塗りで距離を離し、ハーフウェット程度の塗装で止めます。

艶が引いて手で触れるくらいに乾燥(指触乾燥)してきたら、次も同様にハーフウェットで塗装します。

必ずハーフウェットを心がけ、ウェットにならないように、ドライにならないように塗装していきましょう。

また、慣れないうちは塗り始めたポイントに塗料が多く付きすぎる傾向にあります。

塗装したい(色を塗りたい)ところから塗装を始めるのではなく、少し手前から塗装を開始し終える段階でも少しだけ行き過ぎるくらいでちょうど良く塗装できます。

エアー圧の調整

エアー圧が調整できないことで、缶スプレーと被塗物の距離の調整が難しいです。

エアー圧を上げることで粒子が細かくなり細かい肌も再現できますが、缶スプレーはエアー圧を下げ、吐出量をめいいっぱい上げて塗装をしているようです。

これをスプレーガンのような塗装にするためには、距離を近付け速く動かすことで細かい肌の再現も可能になります。

さきほどの吐出量の調整では、缶スプレーを離して吹くように解説したのとは真逆の解説になっていますが、ちょうど良いところを見つけて吹くのみです。

離しすぎるとドライ塗装特有のザラザラでブチブチな肌になってしまい、クリヤーコートが鮫肌のようにボコボコしたような仕上がりになってしまいます。

こちらも慣れないうち距離を離し、慣れるに連れて距離を縮めていきましょう。

失敗して必ず垂れますので、落ち込まずに次回からは離して吹くように。

僕はもう100回以上は垂らしてますから。実車で。

そして距離感を掴めれば、さらに距離を縮め、缶スプレー(腕)の動きを速めることで細かな肌が再現できます。

希釈率の調整

塗り方だけではどうにもなりません。

缶の中に規定量の元色とシンナーが入っていますので、減らすことも増やすことも不可能です。

ガンに移し替えるという方法もありますが、それではガンを使用してしまうことになりますので、今回の解説とはまた違った方法になってしまいますので。

さて、希釈率の調整は不可能でも塗料を柔らかくしたり硬くしたりすることは可能です。

塗料の特性上、冷たければ硬くなり温かければ柔らかくなる性質があります。

これを利用し、バケツ等に熱湯を用意し(50℃~70℃程度)しばらく浸けておきます。

数分後に取り出して缶スプレーを振ってみてください。

中のビー玉と塗料を撹拌した時の音が明らかに軽くなっています。

この軽さこそが希釈率の変化と似通っていますので、温めた缶スプレーを使用することで薄い塗料特有の細かい粒子の再現も可能です。

塗料が硬いまま(冷えてる状態)塗装することで粒子が粗くなり、ブツブツした肌が出来上がってしまいます。

さらには、缶スプレーのエアー圧が粘度に負けてしまい、息継ぎをするようなかたちなってしまうので綺麗な塗装には仕上がりません。

外気温が高ければ温める必要もありませんが、直射日光下で塗装を行えばすぐに乾燥してしまい、こちらもガサガサ肌となってしまいますので、暑すぎる日に塗装するのもオススメはできません。

パターン幅の調整

備え付けのノズルだけではパターンは限られてしまいます。

クリヤーコートの際には広く吹きたいですし、小さなものや狭いところはパターンを絞って吹きたいものです。

2液型の缶スプレーでない限り、ほとんどのノズルは流用可能かと思われますので、用途に応じて付け替えるようにしておけば問題なく吹けるでしょう。

まとめ

この解説を読んだからと言って、上手く吹ける人は1人も存在しません。

とにかく練習を繰り返し、試行錯誤を繰り返し、自らが何かに気付くことで上達していきます。

塗装は技術と経験と感覚だけがあればなんとかなりますので、完璧を求めなければ実現可能です。

塗装をしている全ての人に共通することですが、完璧を目指すために日々の練習(本番ですが)を繰り返しています。

しかし、1度たりとも完璧な仕事はしたことがありません。

だからこそ楽しいんです。塗装って。