塗装を剥がしたい!塗装のプロが教える塗装の剥がし方

塗装を剥がしたい!塗装のプロが教える塗装の剥がし方
新車の塗装や補修後の綺麗な塗装を剥離する必要はありませんが、DIYなどで塗装を行い失敗してしまった状況では、剥離することが最も得策でしょう。
剥離液(ペイントリムーバー)やペーパーを使用して剥離を行いますが、やみくもに剥離しても後処理に時間が掛かるだけです。
正しい剥離方法と正しい工程を理解することで、失敗することもなく綺麗に塗装を剥がせるでしょう。

足付け不良による塗装剥がれ

塗装前に行う足付けは非常に重要な役割があり、一連の塗装作業においては必須工程です。
足付けの重要性についてはこの記事が大変分かりやすいです。
【リンク】
足付け不良におけるトラブルの代表例は「ペリペリと剥がれる」状態に陥ること。
上塗りの塗装が硬化後に浮いた状態になり、爪で引っ掻くだけでもみるみるうちに剥がれてくるでしょう。
足付け不良による剥離方法はペーパー類を使用して剥離していきますが、この場合は剥離ではなく「削る」という言い回しが適切でしょう。
基本的にはエアーツールを使用して剥がれた箇所からフェザーエッジを作りながら削っていきます。
フェザーエッジの重要性について写真付きで解説しています。
【リンク】
フェザーエッジが綺麗に表れなければ塗料の密着が弱く、次第に塗装は剥がれてしまいますので、塗膜がエッジ状になっている箇所を重点的に研磨していきます。
この際に1箇所のみに力を当てるのではなく、また1箇所のみを削り他へ移るのではなく、研磨作業を開始した箇所から徐々に広げていき、中途半端な位置から再開することだけは避けてください。
力を当て続けた箇所は塗装が低くなっており、へこんでいるように見えるので、改めて塗装を行った際に(艶が出て景色が映り込むとき)ボコボコと無数のへこみになることでしょう。

塗料トラブルによる塗装剥がれ

性質の異なる塗料を使用して塗装した場合に多く見られる事例です。
MSDS(品質安全データシート)に記載されていることもありますが、下塗り塗料と上塗り塗料との相性が悪ければ「チヂレ」という現象が発生してしまい、下塗り塗料まるごと剥がれてしまうでしょう。
極端な例を挙げますと、下塗り塗料にはラッカータイプの缶スプレーを使用し、上塗り塗料には外壁などに使用されるペンキなどの塗料を塗装してしまうことで起こりえます。
この時の塗装の状態は、足付け不良のようにペリペリ剥がれるのではなく、ビニール袋を火で炙った時のようにぐにゃぐにゃとチヂレているでしょう。
スクレーパーなどを使用して剥離する方法もありますが、ボディに深い傷が入ってしまう恐れがあるためオススメできません。
数センチ程度の小さなチヂレであれば、先ほどの足付け不良修正のように削ることで対処可能ですが、パネル1枚や車全体ともなれば研磨作業だけでは、とてもじゃないですが追いつけません。
このような事例が発生した際に、プロの方が対応する方法は「ペイントリムーバー」を使用することです。

ペイントリムーバーの取り扱い方法と剥離作業用具

塗料を溶かし、剥がしてしまう薬品ですので、とても強力な溶剤であり、取り扱いには細心の注意を払わなければなりません。
耐溶剤性の強い手袋を装着し、風通しの良いところで作業を行いましょう。
ホームセンターで市販されているペイントリムーバーは、剥離性能が決して強いとは言えなく、数回に分けて作業する場合も少なくありません。
現在では通販で多数の商品が入手可能ですので、可能な限り強力なペイントリムーバーを選び、1度の作業で終わらせてしまいましょう。
なお、セダンタイプ1台あたりの剥離剤使用料はおよそ6kg程度となります。
軽自動車で4kg~
アルファードクラスの大型サイズであれば10kg弱となるでしょう。
・ペイントリムーバー使用時に用意するもの
・ペイントリムーバー
・容器
・大型のハケ
・マスキングテープ
・ラップ
・樹脂製のヘラ
以上の4点があれば剥離作業は出来てしまいます。
ペイントリムーバーと容器
容器は耐溶剤性の強いものを選び容器の中にドボドボとペイントリムーバーを入れていきます。
バケツのように大きな容器では取り回しに手間取るので、1Lくらいの小さなものに小分けにして使用するのがよいでしょう。
下記は耐溶剤性も強く、プロも愛用しており、塗装の際に使用する塗料やクリヤーにも使用可能で、汎用性が高く非常に使い勝手が良いものです。
また、転倒防止や持ち運びが楽になるため、ホルダーも同時に使用すると作業性が向上するでしょう。
ハケ選び
ハケは5cm程度の一般的な物で良いでしょう。
安物の毛が抜けやすいタイプのハケでも全て剥離してしまいますので、ハケによる大きな違いはありません。
避けたいのは、先端が樹脂で作られているタイプのハケは溶剤の伸びが悪く、ペイントリムーバーには不向きです。
FRPなどの補修には最適ですが、ペイントリムーバーを使用する場合には先端が毛でできたハケを選びましょう。
マスキングテープ
ガラスや樹脂など、溶剤が付着するおそれのある箇所を養生するために使用します。
塗装不良がドアの表側だけの場合、溶剤が裏側に付着することは好ましくないので、万が一付着した場合を考慮し、予め養生しておくのがよいでしょう。
また、100円ショップなどで販売されているマスキングテープは、切れやすい、糊が強すぎる(弱すぎる)など、マスキングテープという名称のみで、実用性に関しては決して良いとは言えません。
様々なマスキングテープがある中で、塗装のプロが使用している大半のマスキングテープは「3M」です。
糊も残らなくちょうど良い接着具合。柔軟性もあり、湾曲した箇所へも使用可能です。
下記で3M製のマスキングテープについて解説しています。
【リンク】
ラップ
後ほど解説しますが、ペイントリムーバーを塗りつけたあと、表面にラップを貼り付けて溶剤の乾燥を防ぐ役割があります。
幅の狭いラップや長さの短いラップは何度も重ねなければならないため、不便と感じるでしょう。
業務用であれば、大きなラップも存在していますので、ペイントリムーバーを使用する際には大きめのラップを使用しましょう。
樹脂製のヘラ

ペイントリムーバーの使用方法

マスキングを行う
容器に適量入れる
ハケで塗り重ねていく
ラップを貼る
ハケで塗り重ねていく
ラップを貼る

1、マスキングを行う

ベルトモールやヘッドライト等の部品は予め外しておくのが良いでしょう。
爪が割れてしまう恐れもありますので、マスキングテープを使用して養生してしまう手法もあります。
リムーバーが付着しないよう、塗らない箇所へしっかりとマスキングをし、キワの部分は2枚3枚と厚くマスキングを行うことでテープへ溶剤が侵食してしまうことを防げます。

2、リムーバーの塗りつけ

容器にリムーバーを小分けにし、ハケを使用してベタベタ車全体を剥離する場合には、絶対に一度に全てのパネルに塗ってはいけません。
2パネルまでに留めておきましょう。
塗料と溶剤の化学反応により塗料を溶かし、塗装を浮かせることで簡単に剥離は可能ですが、反応する前に乾燥してしまえば莫大な時間と費用の損失になります。
乾燥後は全ての塗料がパネルへ張り付いてしまい、再度リムーバーを塗る作業やサンダーを使用して削っていかなくてはなりません。
手間ではありますが、必ず小規模の範囲で作業を行うようにしましょう。

3、ラップを貼りつける

空気の侵入を防ぎ、乾燥を極端に遅らせることで塗装と溶剤が反応し剥離していきます。
ラップを強く張る必要はなく、被せるという表現がしっくりくるでしょう。
塗布されたリムーバーが全て隠れるように貼り付けていきます。

4、パネル毎にラップを剥がしていく

ラップを貼り終え、必ず2時間以内に剥がすようにしましょう。
ラップを貼ることで乾燥を遅らせてはいますが、少なからず乾燥は進行しています。
リムーバーが乾燥してしまった場合の手間は先ほどの説明通りですので、必ず乾燥する前にラップを剥がし、リムーバーを除去していきましょう。

5、ヘラを使用して剥がしていく

パネルにヘラを押し当て動かしていくだけで、剥離された塗料はスルスルと剥がれ落ちていきます。
パネル一枚、2分程度で綺麗に剥がれているのではないでしょうか。
地面に落ちると乾燥してしまい、後処理が大変てすので、段ボール等を使用して受け皿としてあげましょう。
新聞紙一枚では染み込んでしまうので、数枚重ねて使用することで溶剤の染み込みを防止できます。

剥離後の作業

全体がツルツルと綺麗になっているわけではなく、ところどころ溶剤の残りが発生しています。
キワ部分の剥離が甘い箇所も見受けられると思いますが、#240~#400程度のペーパーを使用して残りの溶剤を除去していきましょう。
ここまで来れば後はサーフェーサーを吹いて塗装作業となります。