【すぐにわかる!】何層にもなっている車の塗装の仕組みと新車の塗装方法

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新車の塗装は何層にもなっており、その層に応じてそれぞれに役割があります。

また、塗装工程に入る前にも下処理として皮膜を形成するため、防錆や耐候性を最大限に向上させるよう、様々な工夫がされています。

このサイトは「自分で塗装を行う方法」を解説していますが、まずは新車の塗装がどのような工程で塗装されているかを知ることによって、塗装のトラブルにも素早く対応できるようになるでしょう。

塗装前の下処理

工作機械などの塗装も同じく、車のボディ作成時には大量の油が塗られています。

これは、数分や数十分放置するだけでも錆が発生する原因ともなりかねませんので、この錆を予防するために油が塗られています。

自動車の新車ラインは、長期連休などで10日以上工場が未可動になる場合でも、連休明けにすぐ始業できるよう、製品(車)の流れが止まったままの状態でラインが停止しています。

10日以上も鉄板むき出しのまま放置してしまえばすぐに錆びてしまいますから、ボディだけではなく車の部品全てに油が塗られていると言っても過言ではないでしょう。

この油を除去するために、リン酸亜鉛処理と呼ばれる方法で

  1. 鉄粉除去
  2. 脱脂
  3. 足付け

この工程を全て一度で行っています。

自動車が作られ始めたころは上記の工程を全て手作業で行っていましたので、生産効率も悪く、少量の台数しか生産出来ませんでしたが、現在はすべて機械で行っているため、品質の安定性も一定ですから、塗装トラブルが少なくなってきました。

電着塗装(1回目)

防錆効果の強い塗料を塗装していきます。

塗装と呼ぶにはほど遠いほど、ごく薄い塗膜で塗装していきます。

この塗装の特徴は

  • 膜厚が薄い
  • プライマー効果よりも防錆効果重視

あくまでも防錆を第一に考えた塗装ですので、塗膜を厚くする必要もありませんし、密着性を追求する必要もありません。

電着塗装(2回目)

この工程では、防錆効果のある塗装は必要ではありません。

密着性を向上させ、次に塗装する下色に備えた塗料を使用していきます。

この塗装の特徴は

  • 膜厚が薄い
  • 密着性のみを考慮した塗料

このようになります。

防錆塗料や密着性向上の塗料は、メーカーによって色が異なりますので、一概にこの色と決め付けはできませんが、おおよそグレーか黒で塗られていることが多いようです。

というのも、僕自身が板金塗装屋さんですので、修理の際に塗料を剥がした段階で下塗りが何層になっているのか、どのような色なのかを見極めることが出来るようになるからです。

下色工程

次工程の塗装色の染まりや発色を良くするために塗装します。

基本的にはグレーベースで作られており、上塗りが白なら白っぽいグレー。

上塗りが黒なら黑っぽいグレー。

赤や黄色などもグレーベースで、上塗りの色に近づけた色を塗装する工程です。

ベースコートは高級な塗料ですから、下塗り工程でしっかりと色を染め、上塗りで使用する塗料を必要最小限にすることで、コストの削減を実現しています。

これは民間の板金工場でも同じく、赤などの染まりの悪い色の場合、必ず下色を塗装してから上塗りを行います。

修理においては、調色と呼ばれる「実車に合わせた色を作り出す」作業がありますが、この調色工程を可能な限り短く、なおかつ染まりの悪い色は塗膜が厚くなりやすくトラブルの原因ともなるため、下色を塗装してトラブルを回避しています。

ベースコート

軽トラックなど、いわゆる仕事で使われる車の場合、この「ベースコート」のみで塗装が完了することもあります。

99%以上の車は次工程のクリアコートまで塗装してありますので、あなたの車やバイクもクリアコートされていると考えて良いでしょう。

また、塗装色によっては1色だけではなく複数回塗装する色もあります。

例えば3コートパール。

今では軽自動車にも採用されている色ですし、高級塗装と言うイメージは無くなってしまいましたが、それでも新車価格に「+10万円」というオプション塗装代金が上乗せされる色です。

3コートパールの場合

  1. ベースコート
  2. パールコート
  3. クリアコート

この3回の工程に分けて塗装されています。

ベースコートだけならただの白色ですが、パールコートを吹き付けることでキラキラした白となり、光に反射して高級感を演出できる塗装方法です。

キャンディ塗装も同様に3つの工程があります。

  1. ベースコート(メタリック)
  2. カラークリア(透明度の高い色)
  3. クリアコート

メタリックが透明度の高い色に反射して深みのある色に仕上がるため、大変人気のある塗装方法となっています。

この塗装方法も「+10万円〜」ですので、工程が増した分だけ塗料代金などが上乗せされています。

一般的な塗装は2コートメタリック(マイカ)などですので、原色にメタリックやパールを配合した塗料を塗装し、クリアコートを塗装して塗装工程は完了となります。

クリアコート

先ほど紹介した軽トラックなどを除き、全ての車に採用されています。

クリアコートは

  • 耐候性の向上
  • 光沢の向上
  • 塗装の寿命延長

一般の方はクリアコートの必要性を理解していないことが多く、非常に残念に思いますので、この際ですから必要性を徹底的に解説していきたいと思っていますが、あまりにも長くなりすぎるので別に記事を用意しました。

下記にリンクを貼っておきますので是非参考にしてください。

https://diy-paint.com/archives/581

https://diy-paint.com/archives/541

検査

検査工程は基本的に目視で確認します。

塗装工程で付着したホコリなどを見付ける作業ですが、この工程がもっとシビアです。

塗装前の下処理に使われている「リン酸亜鉛処理」の各種溶剤の数値管理もシビアですが、全て数字で現れるため、ほとんどのトラブルは未然に防げます。

しかし検査工程は人間が目視で行うものであり、必ず見落としが発生します。

このため、同じ箇所を数人体制で検査することも珍しくなく、塗装工程で最も人件費が発生する工程と言っても過言ではないでしょう。

新車でゴミが付着していないという固定観念のある方が大半ですが、世の中ホコリのない場所など一切ありません。

自動車の塗装ラインで最も多い不良は「塗料が排出されるファンに取り付けられているフィルターから出るホコリ」です。

フィルターは繊維で作られていますから、どれだけ技術が向上しても繊維の劣化は防げません。

使用すればホコリが舞い、舞ったホコリがボディへ付着。

そのまま塗装してしまうことで不良となります。

手直し以外の塗装工程はすべて機械で行っていますから、ゴミが付着しても機械が止まることはありません。

全ての塗装が完了するまで、ひたすら塗装を続けているのです。

搬出

検査が終われば搬出です。

同じ工場で部品が取り付けられることもあれば、違う工場まで移動することもあります。

メーカーや工場などの仕組みによって作業方法は様々です。

晴れて塗装完了となりましたが、今回の記事で新車にゴミが付着していることを始めて知った方も多いでしょう。

メーカーはいかに塗装が綺麗かというメリットしか押し出しませんので、ユーザーが知るはずもありません。

板金塗装屋さんなら誰もが知っている、新車なのにゴミが付いているという事実。

世の中、完璧な物はありません。

粗探しをするつもりはありませんが、必ずどこかに不具合は発生しているものです。

突き詰めれば1台も塗装完了になりませんので、どこかで線引きをしなければなりませんよね。

それが新車の塗装と言うものです。